呼吸するように本を読む

あっという間に実家の解体終了。親の仮住まいに顔を出すと何かと雑用を命じられそうなのでなるべく近づかないようにしています。
で、最近買った本。

岡崎武志『読書の腕前』光文社知恵の森文庫
本屋図鑑編集部編『本屋会議』夏葉社
青江舜二郎『狩野亨吉の生涯』中公文庫
橘外男『ある小説家の生涯』中央公論社

岡崎さんの『読書の腕前』以外は徒然舎さんで購入したもの。
『本屋会議』はかつて当たり前のように存在した町の本屋さんが気がつけば見当たらなくなってしまった現状に危機感をもった人々が集まった記録。「ネット販売があれば事足りる」とか「本は地元で買うようにすればいい」とかありきたりな結論を導こうとするのではなくまず現在の町の本屋さんはどうなのか何を考えているのかということから始まり、利用する読者の側からももう一度町の本屋さんとの関係を見直してほしいというお互いの「当たり前」だった部分を洗いなおしてもう一度考えようという進め方をしているように思えます。
呼吸するように本を読む人にはとにかくこの夏葉社さんたちからのメッセージを受け取ってください。そうでない人も是非。
狩野亨吉の本は伝記の対象である狩野本人の事績もさることながら、そこに我を忘れて没入し周囲もほかの伝記者も勇み足で批判をする青江節が楽しい。内藤湖南のときもそうでしたがもう少し冷静になればいいのにと苦笑いしてしまいます。秋田人が秋田人にほれ込むとこうなってしまうのでしょうか。そういえば星亮一の会津肩入れ伝記も同じようなテンションだったな……
しかしまあ京都帝大文科長時代の狩野が苦労したというだけでお公家はんから庶民まで京都人の性格文化全否定は行き過ぎでしょう。ここの文章が一番おもしろかったのですが。
あと個人的には古書収集のところをもっと詳しく書いてほしかった。