4月を駆け抜けろ(というか駆け抜けた?)

例によって無精筆。久々の更新であります。
とっくの昔に桜は散り、仕事は新年度を迎え、この間は徒然舎さんの5周年イベントもすんでGW突入です。

徒然舎さんのイベントは善行堂・夏葉社とのトークショーと世田谷ピンポンズのライブの2部構成、善行さんところには新年早々に顔を出していますが、夏葉社島田くん『明日から出版社』出版記念で善行堂の1日店員をやっていたとき以来なのでおそらく2年ぶりくらいでしょうか。その時に世田谷ピンポンズさんも来店したことを覚えています。もうそんなにたつのか。イベント自体は大盛況で終わり打上げにも勝手に参加。そこでは藤子不二雄研究家の方に楽しいお話を聞かせてもらい、子供の頃に読んだ漫画をいろいろ読み返したくなりました。親戚の床屋に置いてあったぼろぼろになった「21エモン」とか。うろ覚えですけど、夏休みの課題で日焼けでむけた肌をきれいにはがしてTシャツを作ろうとするも失敗して「もうブラジャーしか作れない」と21エモンが嘆くシーンがあったはず。他の話は全く覚えていないのに子供心にブラジャーに反応したのでしょうか(笑)
そうそう、東京に住んでいたころにお世話になっていた古書店からも久々に目録が届いたので電話で注文+生存確認。目録の一番最初に載った本の価格欄を見ると「行方不明」と書いてあります。いかにもAさんらしくカオス状態の店のどこかに眠っていてひょっこり見つかるのではと思っていたらちょっと店を離れたすきに無くなっていたとのこと。人がいようといまいと入るのに勇気のいる店なのですがそこから盗るとは余程のことです。古本好きに悪い人はいない、わけはなく紀田順一郎古本屋探偵の事件簿』読めばむしろ悪人ばかりのような気がしますがこれはいけません。あんな金のない店(失礼!)を狙うなんて。
ということでいつもながらの最近買った本は下記の通り

荒俣宏旧蔵博物誌コレクション目録』慶應大学三田メディアセンター
内澤旬子『捨てる女』本の雑誌社
岡崎武志『ここが私の東京』扶桑社 『読書で見つけたこころに効く「名言・名セリフ」』光文社知恵の森文庫
片岡義男『彼とぼくと彼女たち』晶文社
辻原登『枯葉の中の青い炎』新潮文庫
殿山泰司『三文役者あなあきい伝』1.2講談社文庫
山下賢二『ガケ書房の頃』夏葉社
四方田犬彦『狼が来たぞ』平凡社

荒俣宏の博物誌コレクションはツイッターで紹介されててほしくなり慶應にメールで注文。図版が100点以上あり目で見て楽しい目録です。これで1,000円はかなりお買い得。
岡崎武志『ここが私の東京』と山下賢二『ガケ書房の頃』は面白くて一気に読んでしまいました。どちらも傑作です。

いそげ民博

土曜日が義母の三回会のため有休をとって金曜日から家人の実家へ帰り準備。
法事も滞りなく済み今回は全員忘れ物なく親戚の皆さんは帰宅されました(笑)というのも以前書いたかもしれませんが家人のほうの親戚はアラナイ(around90)が多いため一周忌の時は終わって送って行った後に財布やら鍵やらが残され再び届けるために……終わった後のほうが大変でした。
義父もこの日のための準備に気が張っていたので終わってしまうと気が抜けてしまうのではと心配なのですが、そこは唯我独尊のB型なのでまた何やら始めることでしょう。とりあえず仰せつかっているのは宝塚の清荒神にお札を返しに行くこと。なるべく早めに時間を作って連れて行ってあげないといけません。
本日はわずかな自由時間を使って国立民族学博物館で開催中の夷酋列像展を見学。中村真一郎『蠣崎波響の生涯』を読んで以来一度は現物を見てみたいと思っていたのですがフランスのブザンソンに収蔵されていて日本でもあまり有名でないので見ることはかなわないと思っていたのですが国内で、しかも家人の実家から行ける民博に来るとあっては行かないわけにはいきません。午後からの予定もあるのであまり時間は取れなかったのですが、アイヌの貴人たちの威厳がそれはそれは細かな筆致で表現されておりよく見てるなあと思いました。これもアイヌとの交易で成り立っていた松前藩の重職についていた波響ならではの視点なのでしょう。図録を買ったらB2サイズのポスターももらえました。150名様限りということなのでまだ150部売れていないのでしょうか。これは絶対買いです。

最近買った本。
宇月原の本はいったん全部売ったのにまた読み直したくなって結局全部買いなおしています。山田風太郎隆慶一郎の後継者候補はあまたいても国枝史郎を継ぐものと呼べるのはこの人しかいないのでは。どれでもいいので一度映像化しないかしら。
宇月原晴明『黎明に叛くもの』『安徳天皇漂海記』中公文庫
杉本秀太郎平家物語講談社

栴檀は双葉より芳し、では一葉は二葉より……

山中共古ノート』からのつながりで山口昌男内田魯庵山脈』を再読。この本は歴史上の表面に出てこない人物たちを魯庵を円心として描いていく名著なのですが人名だけで膨大な数が出てきます。前回読んだときは素通りしていたのですが今回引っかかった名前は……樋口二葉……
一瞬ただの誤植かと思いました。一葉の。本気で名乗ったのか冗談なのか……しかし、一葉フアンには相当嫌がられたでしょうね。一葉に対して平静でいられない斎藤緑雨とかがこの名前を見つけていたらただ事じゃすまなかった気がしますがどうなんでしょう。

購入本
野呂邦暢野呂邦暢小説集成6 猟銃・愛についてのデッサン』文遊社

このシリーズのようやく6巻までたどりつきました。文遊社のサイトによると全9巻の予定。完結する前に当方の財政が破たんするかもと慄きながら買い集めています。高いんだよな〜でも野呂の本を古本で集めるよりは安くつくはずです。コバルト文庫で出ている「文彦の戦い」や「水瓶座の少女」なんかネットで価格調べるとぞっとしますからね。あと単行本未収録作も魅力的。

清原和博は映画『ナチュラル』を見たことがあるか

往年のスラッガー覚醒剤での逮捕を聞いてからロバート・レッドフォード主演の映画『ナチュラル』が無性に見たくなる今日この頃です。いろいろあってデビューの遅れたオールドルーキーがホームランを打ってナイター照明の下ゆっくりと塁間を走る主人公は本当に美しく夢のような場面でした。沢木耕太郎のエッセイにもこの映画を見てプロ入りの決意を母親に語ったスーパースターを父親に持つ二世選手のことが書かれていましたね。このエピソードだけでその選手がどれだけ不肖の息子だ、客寄せパンダだ、大嫌いな巨人の選手になったといわれても応援したものでした。
そして清原和博は果たしてこの映画を見たことがあるのでしょうか。もう遅すぎるかもしれませんがぜひ見てほしいものです。
1988年の日本シリーズ第一戦でナゴヤ球場レフトスタンド最上段から、さらに上を夜空に消える打球を見上げたことのある元野球少年としてはどこかまた、いつかまたスタジアムで彼の姿を見られることを願ってやみません。

未読の本がずいぶんたまっているので買う本は控えめです。
広瀬千香『山中共古ノート1』青燈社
一冊だけ。
善行堂で勧められた『阿佐ヶ谷貧乏物語』がひどく面白かったのでそこに出てくる登場人物の一人である江口榛一を描いた吉田時善『地の塩の人』が積読のままだったのをようやくページを広げる気になりました。どちらにも出てくる梅崎春生の口と性格の悪さについ魅かれてしまいました。次は梅崎関連の本を探そうかな。

今年もぼちぼち

正月休みのあとの三連休。遅くなりましたが今年もよろしくお願いします。
あまり本を買っていない気でいましたが年末から今日にかけて買った本を書き出してみると結構買ってますね。下記以外にもあるかも。
初詣は元日に家人の実家近くの吉志部神社、3日に実家近くの手力雄神社、昨日はお千代保稲荷と、初古本屋は仕事始めの日に北方町ブックオフでした。
そして善行堂詣では一昨日の9日。昨年は秋の知恩寺の古本まつりに行けなかったので顔を出したのは8月の下鴨神社の古本まつり依頼でした。いつものように本を買うより善行さんとの話に夢中に。いろいろなイベントなどの話を聞けたのはよかった。
今年もぼちぼちしか行けないでしょうがまた楽しい話ができるといいな。



荒俣宏『風水先生レイラインを行く』集英社文庫
大川公一『竹林の隠者 富士正晴の生涯』影書房
大佛次郎『旅の誘い』講談社文芸文庫
富士正晴大河内傳次郎中央公論社
吉村昭『史実を歩く』文春新書
鹿島茂『パリの日本人』中公文庫
山崎ナオコーラ『かわいい夫』夏葉社
中野三敏『江戸の板本』岩波現代文庫
林望『思想する住宅』文春文庫
喜国雅彦国樹由香メフィストの漫画』講談社
佐藤優『地球を斬る』角川文庫
司馬遼太郎『十六の話』中公文庫
三田村鳶魚『お家騒動』『目明しと囚人・浪人と侠客の話』『江戸雑録』中公文庫
柏木如亭『訳注聯珠詩格』岩波文庫
久保田二郎鎌倉幕府のビッグ・ウェンズデー』角川文庫
真尾悦子『阿佐ヶ谷貧乏物語』筑摩書房
山田稔特別な一日編集工房ノア

そのほかBook5、彷書月刊のBN15冊

せめてなりたや

日帰りで家人の実家がある大阪の吹田へ。エキスポシティがオープンしたので渋滞しているのではと戦々恐々としていたのですが万博の外周道路は思ったほどの混雑はなく一安心。
いつもこんな感じだといいのですが、ガンバの試合やロハスフェスタなどのイベントがあるときはどうでしょうか。向こうにいるときは生活道路として必要不可欠なだけに不安がつきません。
いつか入ろうと思っていた吹田市片山町の古本屋甲子堂、前を通ったらシャッターが降り不動産屋の貼紙が。いつの間に閉店したのだ。やはり思い立った時に行かないとだめですよね。これに懲りて来年は吹田近辺の古本屋を回りたいと思います。

いつまでも あると思うな 古本屋

うーん、ベタすぎる、せめてこのくらいか。
古ツア様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に
古本ツアー・イン・ジャパン小山さんの本でも読み返して気分を盛り上げることにしましょう。

紀田順一郎『日本の書物』ちくま文庫
富士正晴『どうなとなれ』中央公論社
田口史人『レコードと暮らし』夏葉社
荻原魚雷『閑な読書人』晶文社

ご近所さんぽ

引越しして三か月、自分にとっては生まれ育った場所でも家人にとっては全くなじみがない場所なので少し歩いてみることにしました。まずは小学校へ。ここはいざという時の避難先にもなるはずなので位置は覚えておいてもらわないと。あと選挙にも来ますかね。グラウンドでは少年野球の練習が。自分もいやというほどやっていました。自分たちの時につけられた校舎前のネットが懐かしい。このネットに直接打球を届かせたこともありました。ただし数は少ないですが。敷地一回りして中山道切通陣屋跡へ。切通というと鎌倉みたいに岩や山を削って間に道を作ったもののはずなのにこんな平地になぜこんな地名なんだろうとずっと疑問に思っていたのですが由来を書いた看板がありました。曰く「境川に滞留水を落としていた」とあるのですがそんなに落差があった時代があったとは到底思えません。いつの時代か大がかりな土木工事をして平にしたのでしょうか。どなたかご教授いただきたいものです。昔の境川木曽川の本流だったそうなので現在の姿からは想像のつかない規模だったはずですが。
切通陣屋はかつての長森城とも言われています。ここは渋谷金王丸が地頭のとき築城とありますが、この人確かブラタモリの渋谷の回で登場していたような。東京の渋谷にゆかりの人がここを治めていたとは不思議。源氏の名門土岐氏の本拠地だったこともあるようですが今となってはただの住宅地。こんなところを選んだのもおそらく川の水運を利用するためだったと思うのですが肝心の境川が現在のような姿になってしまっていてはこれも想像ほぼ不可能。でその母なる大河の成れの果ての境川沿いを散策。清流とはいいがたいのですがカワセミが魚くわえていました。こいつ意外と人の近くに生息しているので見つけてもありがたみが薄れています。
二時間ほどあるいて家人の万歩計は8500歩。


杏『杏のふむふむ』ちくま文庫
岡崎武志『気まぐれ古本さんぽ』工作舎
小山力也『古本屋ツアー・イン・ジャパンそれから』原書房、『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線』本の雑誌社
紀田順一郎『世界の書物』朝日文庫
中山茂『一戸直蔵』リブロポート
野尻抱影『星の神話・伝説』講談社学術文庫
森鷗外『椋鳥通信』(下)岩波文庫
湯浅常山『常山紀談』(上・下)岩波文庫