春は生臭い季節

岐阜駅近くの清水川公園の桜は七分咲、世間の暗い話題や社内での鬱陶しい内部闘争も少しでも明るい方向へ進めばいいのですが固いつぼみが花開くように天災にあった方々の表情が柔らかくなるにはまだいくつも季節を重ねる必要があるでしょうね。社内のごたごたについてはとりあえず4/1付で辞令が出て第1ラウンド終了。相手の異動先での机の位置にまで口出ししてやりましたがこれでへこたれるタマじゃありませんから近日中に第2ラウンドが始まるでしょう。もう何やっても復権は無理なのですからおとなしく後進の指導に精を出してくれればいいのですが若手の足を引っ張って自分が前に出ようとするからますます人望がなくなるのです。こっちもこんなことばかりうつつを抜かしている場合じゃないのだからいい加減にして欲しい。

とまあ社内の裏稼業と新年度への段取りに時間をとられたせいでなかなか本を読めませんでしたが新旧取混ぜて買った本は下記の通り。

庄野潤三『庭のつるばら』新潮文庫
出久根達郎『作家の値段』講談社文庫
出久根達郎『逢わばや見ばや 完結編』講談社文庫
常盤新平『銀座旅日記』ちくま文庫
松隈洋『坂倉準三とはだれか』王国社
黒川創 藤森照信ほか『愉快な家 西村伊作の建築』INAX出版

出久根達郎常盤新平の本は積極的に集めているわけでないのに読み心地のよさから知らず増えていきます。『作家の値段』は文字通り文豪たちの古書価についての話なのですが古本屋としての視点だけでなく各作家の代表作の紹介にもなっており興味のある作家への入門書としても秀逸だと思います。『銀座旅日記』は作者が敬愛する池波正太郎山口瞳へのオマージュとも言えるエッセイ。中身は十分楽しめたのですが何となく気になったのが坪内祐三を天才、天才とやたら記述するところ。この年齢の人が連発するのはどうも…もう少し厳しい視線も欲しかった。あとはあとがきでも元妻への記述。たびたび会っていたようですが友情という言葉を使うのは男の、または老人の身勝手というような気がします。