周辺の読み方

加藤一雄の『雪月花の近代』京都新聞、これは確か岡本書店で買ったと思ったのですが読んでも回りくどくて何を言っているのか全然頭に入らず。それが月頭に知恩寺の古本まつりに行ったときに善行堂へ顔をだしそこに『京都画壇周辺』用美社と『蘆刈人文書院があったので購入して読みだすと曲がりくねった脇道にそれ続けているように思えながらその脇道の連なりが本題になっているというような奇跡的な文章が今回はわりとすんなりと頭に入ってきてようやく面白いと感じるようになりました。特に『蘆刈』なんて主人公の先生と親族の女性の二人はただ突っ立っているだけで周りの人々や背景が変化していくだけの舞台のような奇妙な感覚。不思議な味です。
こんな文章がようやくわかるようになったのもおそらく京都へ行く前に洲之内徹の『気まぐれ美術館』シリーズを読んでいたせいでしょう。この人も美術を題材にしながら本題なのかそうでないのかよくわからない話をグニャグニャと書き連ねそれを読ませてしまうという芸当の持ち主ですから近似値というわけですね。本を読むにはその時期や順番が大事だということがつくづくわかりました。

知恩寺の古本まつりが終わると年の瀬が一気に近づいたような気がします。
あと二カ月弱、どんな本に出会えるでしょうか。

知恩寺と善行堂で購入した本。
足立巻一『やちまた』上下 朝日文庫
野尻抱影『日本の星』中公文庫
河盛好蔵『河岸の古本屋』毎日新聞社
河野仁昭『京の川』白川書院
中村吉右衛門『半ズボンをはいた播磨屋淡交社
加藤一雄『京都画壇周辺』用美社
加藤一雄蘆刈人文書院