善行堂は旅に値する

立場に見合わぬ仕事を押し付けられて一週間あがいていましたがまだまだ四苦八苦しそうです。部署の違う執行役員たちにあれこれ指示できるわけないじゃないですか。仕事の割振りはもう少し気を使って欲しいものです。重々しい気分を振り切るためにも昨日は午後から在来線に乗り京都へ。
日本古書通信」2月号の岡崎武志さんの連載に関ヶ原から米原までの車窓がもの悲しくも殺風景で一度降りてみたいとおっしゃられていますが学生時代から京都岐阜間を何度も往復した身としてはこのあたりこそが東海道線の醍醐味といいたくなるくらい気に入っています。特にこの季節の伊吹山は見ごたえ十分、威風堂々という言葉がぴったりです。色川武大はこの山を見るとぞっとすると何かに書いていたような気がしますが故郷と大好きな街の繋ぎ目の役割を果たしているため自分にとっては暖かく感じる山です。山科で降り地下鉄、京阪と乗りついでたどりつくのは古書店善行堂。こここそ日頃のストレス発散には最適の場所。店主の古本ソムリエ山本善行さんとあれこれと本の話をしているだけで本来の自分に戻れる気がします。二時間ほどいただけなのですが元気になりました。ボルヘスについてのドリュ・ラ・ロシェルの言葉じゃありませんが「善行堂は旅に値する」というところですか。まあ旅というほど岐阜と京都は離れていませんけど。

最近買った本
青木正美『ある「詩人古本屋」伝 風雲児ドン・ザッキーを探せ』筑摩書房
小林泰彦『むかし道具の考現学』風媒社
茨木のり子『貘さんがゆく』童話屋
宇佐美承『求道の画家松本竣介中公新書
杉本苑子『西国巡拝記』中公文庫
図録『今西中通没後50年』
「APIED」18
「spin」01、02、07